ストレングス・ファインダーと全然関係ない祖父の話

噂のストレンス・ファインダーをついにやってみた。

 

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

 

 コンセプトはこんな感じ↓

 自ら選んだ分野で並はずれた才能を発揮し、常に満足を得るには、その強みのパターンを知らなければならない。自らの強みを発見し、顕在化させ、活用する術を身につけなければならない。本書を読むことで、まずこれまでのものの見方を変えてほしい。<ストレングス・ファインダー(強み探索システム)>を大いに活用し、強みのなんたるかを知り、自らの強みの源泉を見つけてほしい。

 あなた自身、それにあなたのまわりの人々に関するあなたの正しい判断力をさらに確実なものにすること、それが本書の目的である。

 

僕の診断結果がこちら。

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それぞれの資質についての説明と合わせて祖父の話を紹介する。全然関係ないんだけど、何となしに今思い出したから。

着想

あなたは着想に魅力を感じます。では、着想とは何でしょうか? 着想とは、ほとんどの出来事を最もうまく説明できる考え方です。あなたは複雑に見える表面の下に、なぜ物事はそうなっているかを説明する、的確で簡潔な考え方を発見すると嬉しくなります。着想とは結びつきです。あなたのような考え方を持つ人は、いつも結びつきを探しています。見た目には共通点のない現象が、何となく繋がりがありそうだと、あなたは好奇心をかき立てられるのです。着想とは、皆がなかなか解決できずにいる日常的な問題に対して、新しい見方をすることです。あなたは誰でも知っている世の中の事柄を取り上げ、それをひっくり返すことに非常に喜びを感じます。それによって人々は、その事柄を、変わっているけれど意外な角度から眺めることができます。あなたはこのような着想すべてが大好きです。なぜなら、それらは深い意味があるからです。なぜなら、それらは目新しいからです。それらは明瞭であり、逆説的であり、奇抜だからです。これらすべての理由で、あなたは新しい着想が生まれるたびに、エネルギーが電流のように走ります。他の人たちはあなたのことを、創造的とか独創的とか、あるいは概念的とか、知的とさえ名付けるかもしれません。おそらく、どれもあてはまるかもしれません。どれもあてはまらないかもしれません。確実なのは、着想はあなたにとってスリルがあるということです。そしてほとんど毎日そうであれば、あなたは幸せなのです。

 

少年時代、僕は祖父母の家によく通っていた。祖父母は非常な孫煩悩だった。

祖父は、あるとき僕に算数クイズを出した。

「このクイズが解けたら小遣いやるぞ」

それは雑誌の懸賞問題だった。四則演算の記号で結ばれた各空欄に1〜9の数字を入れ、計算結果が10になる組み合わせを探し出す。

時間がかかるだろうと踏んでいた祖父は生垣の剪定をしに庭へ出て行った。

僕はすぐその問題に取り組んだ。まず適当に数字を当てはめてみる。数字の組み合わせが多いから簡単ではなさそうだ。が、二三度試行錯誤すると偶然にもぴたりと10になる答えが見つかってしまった。時間にしてものの5分程のことだった。

「おじいちゃん、たぶんできた」問題が解けたことを、脚立に乗っている祖父に向かって報告する。祖父の口があんぐりと開く。

「んだァ、ホントか? 俺ァ30分以上かけてもわからんかったぞ」

作業を中断した祖父とともに居間に戻る。

「途中分数が出てくるけど、それでいいなら一応10になるよ」

「本当だ。確かに10だな・・・・・・」祖父はそれきり黙ってしまった。千円を手に入れた僕はほくほく喜んでいた。

 

収集心

あなたは知りたがり屋です。あなたは物を収集します。あなたが収集するのは情報――言葉、事実、書籍、引用文――かもしれません。あるいは形のあるもの、例えば切手、野球カード、ぬいぐるみ、包装紙などかもしれません。集めるものが何であれ、あなたはそれに興味を惹かれるから集めるのです。そしてあなたのような考え方の人は、いろいろなものに好奇心を覚えるのです。世界は限りなく変化に富んでいて複雑なので、とても刺激的です。もしあなたが読書家だとしたら、それは必ずしもあなたの理論に磨きをかけるためではなく、むしろあなたの蓄積された情報を充実させるためです。もし旅行が好きだとしたら、それは初めて訪れる場所それぞれが、独特な文明の産物や事柄を見せてくれるからです。これらは手に入れた後、保管しておくことができます。なぜそれらは保管する価値があるのでしょうか? 保管する時点では、何時または何故あなたがそれらを必要とするかを正確に言うのは難しい場合が多いでしょう。でも、それがいつか役に立つようになるかどうか誰が知っているというのでしょう。あらゆる利用の可能性を考えているあなたは、モノを捨てることに不安を感じます。ですから、あなたは物や情報を手に入れ、集め、整理して保管し続けます。それが面白いのです。それがあなたの心を常に生き生きとさせるのです。そしておそらくある日、その中に役に立つものが出てくることでしょう。

 

祖父は百姓だった。

小さな田んぼで米を作って妻と子供三人の食い扶持をつなぐことがどれだけ大変だったか、僕にはわからない。母に聞くところでは農業以外にも測量の仕事を手伝ったりでやりくりしていたらしい。

旧制高校を出てね、勉強はできたらしいの。で、当時頭のいい人は先生になれば安泰だっていうのにおじいちゃん何でか農家を選んだんだからもったいないなあって。農家なんていいことないのに」

何となくその理由がわかる気がした。僕もまた教師にはなりたくなかったから。

 

学習欲

あなたは学ぶことが大好きです。あなたが最も関心を持つテーマは、あなたの他の資質や経験によって決まりますが、それが何であれ、あなたはいつも学ぶ「プロセス」に心を惹かれます。内容や結果よりもプロセスこそが、あなたにとっては刺激的なのです。あなたは何も知らない状態から能力を備えた状態に、着実で計画的なプロセスを経て移行することで活気づけられます。最初にいくつかの事実に接することでぞくぞくし、早い段階で学んだことを復誦し練習する努力をし、スキルを習得するにつれ自信が強まる――これがあなたの心を惹きつける学習プロセスです。あなたの意欲の高まりは、あなたに社会人学習――外国語、ヨガ、大学院など――への参加を促すようになります。それは、短期プロジェクトへの取組みを依頼されて、短期間で沢山の新しいことを学ぶことが求められ、そしてすぐにまた次の新しいプロジェクトへに取組んでいく必要のあるような、活気に溢れた職場環境の中で力を発揮します。この「学習欲」という資質は、必ずしもあなたがその分野の専門家になろうとしているとか、専門的あるいは学術的な資格に伴う尊敬の念を求めていることを意味するわけではありません。学習の成果は、「学習のプロセス」ほど重要ではないのです。

 

「おじいちゃん、カモノハシって卵を生むのに哺乳類みたいに母乳で育てるんだって。じゃあカモノハシって何類?」

家の棚にはブリタニカ百科事典がずらりと並んでいた。わからないことを尋ねると、祖父は僕にそれを取ってこさせる。びっしりと埋められた細かな文字。ページを繰る手の皺。じっと見つめる。

「単孔類と言うらしい」

「たんこーるい。ふーん」

哺乳類でもなく、爬虫類でもなく、単孔類。そのどっちつかずの特殊性、例外性に強く惹かれるものを感じる少年だった。

 

最上志向

優秀であること、平均ではなく。これがあなたの基準です。平均以下の何かを平均より少し上に引き上げるには大変な努力を要し、あなたはそこに全く意味を見出しません。平均以上の何かを最高のものに高めるのも、同じように多大な努力を必要としますが、はるかに胸躍ります。自分自身のものか他の人のものかに関わらず、強みはあなたを魅了します。真珠を追い求めるダイバーのように、あなたは強みを示す明らかな徴候を探し求めます。生まれついての優秀さ、飲み込みの速さ、一気に上達した技能――これらがわずかでも見えることは、強みがあるかもしれないことを示す手がかりになります。そして一旦強みを発見すると、あなたはそれを伸ばし、磨きをかけ、優秀さへ高めずにはいられません。あなたは真珠を光り輝くまで磨くのです。このように、この自然に長所を見分ける力は、他の人から人を区別していると見られるかもしれません。あなたはあなたの強みを高く評価してくれる人たちと一緒に過ごすことを選びます。同じように、自分の強みを発見しそれを伸ばしてきたと思われる人たちに惹かれます。あなたは、あなたを型にはめて、弱点を克服させようとする人々を避ける傾向があります。あなたは自分の弱みを嘆きながら人生を送りたくありません。それよりも、持って生まれた天賦の才能を最大限に利用したいと考えます。その方が楽しく、実りも多いのです。そして意外なことに、その方がもっと大変なのです。

 

祖父は将棋が強かった。駒の動かし方しか知らない僕では到底勝ち目がなく、いつもぼこぼこに負かされていた。

「おぅっし、両天秤」

「桂馬の高飛び歩の餌食ってな」

「飛車タダ取りだぞ」

祖父は子供相手でも手加減はしなかった。

いつしか僕は祖父を何となく敬遠するようになっていた。

 

共感性

あなたは周囲の人の感情を察することができます。彼らが感じていることを、まるで自分自身の気持ちであるかのように感じることができます。本能的に彼らの眼で世の中を見ることができ、彼らの見方を理解できるのです。あなたは必ずしもそれぞれの人の物の見方に賛成するわけではありません。必ずしも一人ひとりの困難な状況を哀れむわけではありません――哀れむのは、共感ではなく同情でしょう。あなたは必ずしも、それぞれの人の選択を受け入れるわけではありませんが、理解します。そして、この本能的な能力は素晴らしい力を持っています。あなたには言葉に表せない問いかけが感じられます。あなたは人々が必要としていることが分かります。他の人が言葉を探して苦労しているとき、あなたには適切な言葉や適切な言葉のトーンが自然に出てくるのです。あなたは、人々が自分の感情をうまく言い表せるように手助けします。あなたは、彼らが感じていることを表現するのを手助けします。この素晴らしい力によって、人はあなたに惹かれるのです。

 

いつものようにうちの玄関で父と祖父との言い争いが始まった。うるさくて居間でテレビが見れないので僕は部屋の奥へ引っ込んだ。日は落ちて辺り一面暗くなっていたが、まだやるべき農作業が残っていたらしい。祖父はカンカンになって出て行き、父もその後を追う形で玄関を出た。僕は静かになって助かったと思った。

父が血相を変えて帰ってきたのはそれから何十分か経ってのことだった

弟と僕は家にいるように言いつけられ、両親は病院へ向かった。

交通事故だった。

 

トラクターから降りたところを乗用車に撥ねられたそうだ。

そして朝を待たずに亡くなった。

 

***

 

この記事を書いた2016年12月10日の夜、夕食を伴にしていた友人が突然倒れ、救急車で運ばれた。その方は僕にとって祖父のような存在だった。

 

あんまり急な展開でいろいろとおっつかないな。

 

そんじゃまた。