「萩の湯」に行って参りました
2017年9月18日。
呼吸が浅い。頭がすっきりしない。
近頃いつもこんな感じだ。血の巡りでも悪いのだろうか。
軽くスクワットや腕立てをして故意に心拍数を上げる。
するとしばらくして私は天啓をさすがった。
「そうだ、お風呂に行こう」
リュックに水筒とタオル、着替えを詰める。
目的地は、よっぴーさんが激推ししていたウワサの銭湯。
バスに揺られること数十分。
さすがったって何だ。
てくてく歩く。
名もなき河に直交して橋を渡る。
む、何だアレは。
土日モ夜モ車ノ出入リアリ.車庫タル僕二休ミハナイ.助ケテ.
過労死した車庫のダイイングメッセージのようだ。南無。
お、あれは・・・・・・!
ついに見つけた!
これがあの「萩の湯」かぁ・・・・・・。それにしても460円って安!
どれ、ちょっくら冷やかしてやるか!
電気風呂・ジェット風呂
電気のピリッとした感じはなかった。
ジェットはジェット以上にジェットだった。たとえるなら飛行機のジェットエンジンか。少なくとも私の知る銭湯のジェットではなかった。背中の皮がめくれそうになるほど凄まじい鬼のような勢いでジェットを放ってくる。
なるべく痛くないお尻と背中の間の辺りに斜め45度になるようにして当てるのがコツだ。誤ってア◯ルに入らないよう慎重に。
光マイクロバブル湯
38℃と若干ぬるめの露天風呂。奥手のスペースから青い空と白い雲を覗くことができる。マイクロバブルなので泡は出ててもお湯は透明。
炭酸泉風呂
37℃のぬるま湯。体中に小さい泡がびっしりつく。肌を撫でるとシュワシュワして楽しい。
高温風呂
42℃と熱めのお湯。この日は柿色の薬湯だった。薬湯は日替わりだから入るたびに新鮮味があってお客さんにとって良いサービスだろうね。
水風呂
17℃。ちべたい。手足の指先が痛いほどひゃっこい。三回入った。
ふらつきそうになる頃合いで風呂場を出た。
体を拭き、着衣を終え、リュックから水筒を取り出す。
中にはキンキンに冷えたフルーツミックスジュースが入っていた。
喉を鳴らしつつその果汁を体内へと送る。
黄金色に輝く液体が渇いたカラダに染み込んでいく。
過言ながら、私は、この瞬間のために生きていきたいと思った。
さて、銭湯で生まれ変わった私は浅草に行ってみることにした。
瞳に映る色彩を失った虹
あなたの暮らしに近くて便利
わたしにとっては近くて遠い
7ELEVEn いい気分♫
わー! 五重塔だー! ・・・・・・でもまぁ騒ぐほどでもないか。
あぁあああああ!!! 浅草寺・・・・・・じゃない?!
付け替えたのか? わからん。
柿食えば鐘が鳴るかな?浅草寺
腰掛け石に座る。
辺りには観光客が行き交っている。隣には中国語でおしゃべりする老女が二人。
私はヘミングウェイが見ることのなかったであろう景色を眺める。
夏も終わりに差し掛かり、夕暮れは思いの外早く訪れる。
そろそろ帰路に着くとしよう。
腰を上げてうんと伸びをする。
そのとき柄にもなくこんなことを言った。
「さっき見たブロンド外国人、おっぱい大きかったなぁ・・・・・・!」
次の瞬間。
私の体はふわりと宙に浮き上がり――空に弾けて、消えたのだった。