ちっぽけに。

3月。

計画通り卒業要件ギリギリの単位数を取って大学を卒業する。

行儀よく真面目なんてできやしなかった。夜の校舎窓ガラス壊してまわった。

戦いからの卒業。

そんな学生生活に憧れていたものだけど。

尾崎某のような豊かな自己表現を持たない僕の反抗心は、腹いせに壁にボールを投げつけて自分のメガネを破してまわるくらいのことしかできなかった。

実にちっぽけな人間である。

 

***

 

ここのところふとすると「おっぱい」と口にしている自分に気が付いた。

こんな僕でも女の子のおっぱいを揉みたいとは思うらしい。

朝、寝袋から出てあくびと同時におっぱい。

日課の運動を終えた直後におっぱい。

眠りに差し掛かったまどろみの最中におっぱい。

いつも脈絡なくその単語が喉の奥からこみ上げてくる。

親しい友人に声をかけるように元気よく「おっぱい!」と発声するときもあれば、神仏に祈りを捧げるかのごとく重々しく「おっぱい」と唱えるときもある。名前を呼ばれた振り向きざまに「オパイ」と口をついて出てしまったことも。

こう書くとまるで僕が変態みたいだが、どうか読者諸賢には冷静に考えていただきたい。僕はただおっぱいを揉みたいだけの男だ。これでも人並みの良心を持った一市民と自認している。おっぱいを揉みたい気持ちは男性としてきわめて一般的な生理的欲求である。その気持ちを正直に口にしたとして誰がその人を責めることができよう。TPOだってわきまえているつもりだ。

あくまで、僕は、おっぱいを揉みたいと考えることがある、きわめて一般的な、成人男性にすぎない。

どこにでもいる、代替可能な、人類の一個体にして、実にちっぽけな人間である。 

( .   Y   . )

 

***

 

先日、新生活に伴ってティファールのフライパンを購入しました。

取っ手が取れるでお馴染みのアレです。早速昼食を作るのに使ってみました。

パコっと着脱式の把手をパンにハメる。これが気持ち良いくらいハマるんですよ。

パコっ。カチャカチャ。パコッ。カチャ。

パコパコ。カチャカチャ。

パコッ! パコッ! パンパンパンパンパンパンパンパン

ハメることにハマると言うか何というか、つまりその、パコパコパンパンハメハメが気に入ってしまったんです。困ったことに。もう数え切れないくらいヤリまくりましたね、ええ。

それから「着脱」って言葉のエロチシズムにまで感化されちゃって、図らずも解脱したわけなんです。

チタンコーティングの向こうに見える森羅万象。宇宙。真理。人生。すべての答え。

「実にちっぽけ」ってつぶやく声が聞こえました。

 

***

 

一切がちっぽけで。

ちっぽいままなんだ。

みんなそのちっぽさを抱えながらちっぽけていくんだよ。

泣いても笑ってもちっぽけなんだよ。

でもそのちっぽけさにとらわれてばかりじゃいけないよ。

ちっぽけなんて吹き飛ばすぐらいの侠気がないと。

何が言いたいかっていうと、世界を明るくするぞ!っつーぐらいの気概をもって行動して初めて一隅を照らすことができるんよってことね。お豆サイズの一隅でもね。

それがあんまりちっぽけで、かなしくてみじめで仕方ないっていうなら人生やめて今すぐ信じ前バカ野郎!

 

んじゃッ!