食べ物などを喉に詰まらせたときの応急手当覚書

 先日、一人の友人が亡くなりました。

 その夜友人と焼肉を食べていました。彼は突然立ち上がりました。キョトンとした顔で彼自身を指差して、一瞬かすれた声を出し、それから僕の視界から外れてどこかへ行ってしまいました。次に見たのは担架の上で心臓マッサージを受ける彼の姿でした。

 あの奇行を『異状事態』と察知して僕がもっと早く探しに出ていれば、その友人は助かったはずです。

ichizon.hatenablog.jp

 もう二度と同じ結末は見たくありません。そのためにもこの一件から学べることは学んでおきたい。

 あのときもし気付いていたら何をするべきだったのか?

 今回の記事では、食べ物を喉に詰まらせたときの対処法について紹介します。

 

意識がある場合

1.状態確認

食事中に突然苦しがったり、皮膚が赤紫色に変色(チアノーゼ)したり、喉を押さえる、喉元を指差すなどの行動を確認したら、「喉に何か詰まったの?」と尋ねる。

 

2.咳をさせる

声が出なかったり、うなずくようであれば「強く咳をしろ」と伝える。

咳ができなかったり、弱くなってきたりしたら他の人の助けが要る。

 

3.119番通報

直ちに119通報を誰かに頼む。周りに協力者がいない場合はすぐに異物除去を行う。

 

4−1.腹部突き上げ法(ハイムリック法)

注意:①〜③に該当する人には危険なので絶対に実施しないこと。

①意識がない場合 ②乳児・新生児 ③妊婦

方法

  1. 「今からお腹を突き上げます」と伝える。落ち着かせてから背後に回る。
  2. 片手で握りこぶしをつくり、傷病者のへその上に親指と人差指の面を当てる。剣状突起や胸骨の真下を圧迫しないように注意する。
  3. 当てた握りこぶしを包むように、もう一方の手でしっかり握る。
  4. 素早く手前上方へ圧迫するように突き上げる。
  5. 異物が取れるか、傷病者の反応がなくなるまで突き上げを繰り返し行う。
  6. 異物を除去できた場合でも、処置により内臓が傷ついている可能性があるので医師の診察を受ける必要がある。

 

4−2.背部叩打法:座っている場合

 叩打は「こうだ」と読む。

 乳児、新生児、妊婦に対しても実施できる。成人では、ハイムリック法より効果は劣る。

  1. 重力を利用するために傷病者の頭を下げる。
  2. 傷病者の胸に胸を当てて、背部と両側から内圧を上げて異物を除去する。「背中を叩きますよ」と伝え、手の付け根で両肩甲骨の間を頭の方向へ力強く、続けて叩く。

 

4−3.背部叩打法:寝ている場合

  1. 仰向けやうつ伏せの場合は、傷病者の体を救助者の方に横に向ける。
  2. 気道を確保できるよう片手で下顎を支える。
  3. 実施者は片膝を立て、その足を傷病者の胸に当てることで側臥位(横寝の姿勢)を維持させる。
  4. 手の付け根で両肩甲骨の間を頭の方向を目安に力強く続けて叩く。

 

4−4.背部叩打法:乳児・新生児

  1. 片腕で赤ちゃんをうつぶせに乗せて下顎を持つ。
  2. 腕を自身の膝の上に乗せ固定して、両肩甲骨の間を叩く。

 

 

反応がない場合

心肺蘇生法を行う。

注意:異物を探すために口の中を覗いたり、指で探るなどはしないこと! 異物を奥に押し込んでしまう可能性がある。

方法

  1. 傷病者の胸の中央に片手を開いて置き、もう一方の手を重ねて組む。組んだ上側の手の指で下の指を持ち上げるようにすると良い。
  2. 垂直に体重が伝わるように腕を真っすぐ伸ばし、組んだ手の真上に肩が来るような姿勢をとる。
  3. 1分間に100〜120回のテンポで胸骨圧迫を行う。
  4. 毎回の圧迫の後で、胸が元の高さに完全に戻るように十分圧迫を解除する。ただし、胸骨圧迫が浅くならないように注意。
  5. 周りに協力者がいたら1〜2分毎を目安に胸骨圧迫の役割を交代する。交代による胸骨圧迫の中断は最小限にとどめ、休んでいる救助者は、胸骨圧迫の位置、テンポ、深さが適切に維持されているかチェックする。 

 

 

参考リンク