2017-08-25 てくてく歩く 詩 僕はてくてく歩く ゆびさきから灰色が滲んで広がってく 突き放せない言葉が口をついて出てく 君はてくてく歩く 帰る場所はあまりにも少なく仕方なく寄り道をしてく キャンバスの下地を塗ってく あの人はてくてく歩く 寂しそうに木枯らしがコートの裾を捲ってく だんだんと人は植物になってく 動物は人間化してく それはてくてく歩く この星に生まれて良かった的な思想が熱を帯びてく 部屋中に電気が走ってく てくてく歩く てくてく歩く タオルが水を吸ってくみたいに時を駆けてく 人間未満の不自然さで以て混沌を体現してく 悲喜交交にてくてくと 健やかなる日も病める日も 僕らはてくてく 歩いてく