てくてく歩く

僕はてくてく歩く
ゆびさきから灰色が滲んで広がってく
突き放せない言葉が口をついて出てく
 
君はてくてく歩く
帰る場所はあまりにも少なく仕方なく寄り道をしてく
キャンバスの下地を塗ってく
 
あの人はてくてく歩く
寂しそうに木枯らしがコートの裾を捲ってく
だんだんと人は植物になってく
動物は人間化してく
 
それはてくてく歩く
この星に生まれて良かった的な思想が熱を帯びてく
部屋中に電気が走ってく
 
てくてく歩く
てくてく歩く
 
タオルが水を吸ってくみたいに時を駆けてく
人間未満の不自然さで以て混沌を体現してく
 
悲喜交交にてくてくと
健やかなる日も病める日も
 
僕らはてくてく
歩いてく

 

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